所長の独り言... 
とあるジャズベーシストの独白・・・
呪文に惑わされない事
 バウンス(レンダリング)、ノーマライズ、ルーティング、コンソール、フューダー、PAN、ミュート、ソロ、BUS、AUX、db、オートメーション、パライコ、グライコ、パラグラフィック、フレック、Q、ゲイン、ハイシェルフ、ローシェルフ、ハイパス、ローパス、ベルカーブ・・・・呪文のようだ。
 
 いわゆるジャズ・ポピュラー理論と呼ばれる技法とその用語(ワケの分からないカタカナ語)が輸入され、だんだんそれがデフォルト・必須になっていき「それ無しじゃやってけない」的な流れになった時、それまで楽典と耳コピと経験則でやってきた日本のミュージシャン達はどういう気分だったのだろうか。
 僕の場合は、始めた時点で、既に「いわゆるジャズ・ポピュラー理論」というのが絶対的なくらい普及していたので、「最初からそういうもんだ」と割りきって勉強した。(むしろ、その後に、ビバップやスイング、それ以前の初期ジャズ、黎明期のジャズ、ジャズになる前のルーツ音楽まで回帰した)
 現代、これからジャズを学ぶ人達は大変だ。いわゆるジャズ・ポピュラー理論だけでなく、それ以前の古典的音楽理論やブルースその他の様々な様式や手法を学ばなければならない。同時に、少し前ならミュージシャンには全く関係ないエンジニアの領分だったような技術・用語知識も学ばなけりゃならない。

 でも、そう思ってるのは前の時代を知ってる一定の年齢以上だけで、案外今の(そしてこれからの)若い世代は、「だって、最初っからそーいうもんじゃね?w ラクショーっしょ☆」とか思ってるのかも知れない。 「昔は」とか「我々の時代は」とか、そういうしょーもない泣き言並べても仕方ない。
 例えば。コーダルな音楽(機能和声に基づく音楽)を、物凄くザックリと一言で言い表すならば、「Tに始まり(途中なんやかやで)Tで終わるスタイル」となる。
 Tから4度上(5度下)のS
 4度上がって(5度下がって)Tに至るD
 これをまとめて T→S ・D→T という、基本形が出来る。
 ・・・とか。
 機能和声とか、教会旋法とか、グレゴリオ聖歌とか、12音システム(ピタゴラス音律)とか、テトラコルドとか、それぞれ一時ムキになって色々と調べた時期があるが。そのおかげで、ザックリと、概要というか骨子というか、「要は」みたいな事について把握・俯瞰する事が出来るようになった。

 DTM、ミキシングについても。 一刻も早く、概要というか根幹的な部分というか、「要は」な部分についてザックリ把握しておきたい。 それさえ出来れば、後は、実践(実戦)を重ね、一つ一つ個別に取り組み、時々深く掘り下げてったり、アレとコレとを結びつけたり(応用したり改造したり)出来る。
 現時点では、まだまだ、ハウツーに従って、その通りの手順・やり方で、進めてくしかない。というか、それがやっと。
 それでも、ようやく、そもそも何をしなくてはならないか、最初に何から手をつける(始める)べきか、駒の動かし方と基本的な手筋・手順(定跡)みたいなものが見えてきた。

 居飛車、振り飛車、矢倉、穴熊、棒銀、、、あれ?全然出てこないw
 もともとヘボ将棋な上に、もう何年もやってないので、サッパリ覚えてないが。
 こうした膨大な専門用語に振り回されるより、まずは実際に打ってみて、その絵面とか、流れとか、体感とか、そういうもので覚えてしまった方が良い。
 まずは手を出して、ひたすら反復して、叩きこんで、便宜上呼称が必要になったり整理したくなった時、はじめて用語を覚えれば良い。 一覧(用語集)は、まとまって分かりやすいようでいて、むしろ余計混乱したりしてしまう。
 → 将棋の戦法一覧 こんなもの、丸暗記する(所からはじめる)意味がない。
手を出す前に、或いは手を出し始めた段階で膨大な用語とか説とか周辺の雑学に惑わされると、そもそもそれが将棋というゲームである事や、「相手の王(玉)を取る(=詰みにする)」というそれだけのシンプルなゲームであるという事、すら見えなくなる。 何か、とてつもない、奥深い、手を出せないものになる。

 僕は、偉大なジャズの巨人達について一応リスペクトしているが、それは子供の頃に(あの16連射の)高橋名人に抱いたものと基本的に変わらない。ただ、16連射みたいな早撃ちが出来るとは思わなかったが、「別のやり方をしてやる」とは思っていた。 大事なのは早撃ちでなくて、ゲームをプレイする事だ。
 取り組む事、取り扱う事、対処する事に対し、あまり過度に重々しく考えてはいけない。 「そんな、畏れ多くて、、、」「自分にはとてもとても、、、」みたいな事を考えてたら、持ち上げ過ぎたら、自分から遠く離れた問題になってしまい、何も出来なくなる。何も分からなくなる。 畏敬の念は不要。
 
 まずは、徹底的に簡単に。ライトに。チープ化(矮小化・手軽化)する事。
 無闇に、わざわざ自分から難しくするのは禁物。
 ワケのわからない怪しげな呪文なんぞ、唱えようとしちゃいけない。 冷静に、客観的に、大雑把に、大体の流れで、やってみた感じで、掴むべし。

 まずは、 「まな板の上」に「素材」並べて、バラバラに解体し、下処理したり、切り刻んだり漬け込んだりして、料理していくのだ。
その、様々な素材を、同じまな板に載せるための第一歩が、MIDIデータのオーディオ化。 バウンス。レンダリング。
 
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実戦的な目的意識を
いわゆる「現場叩き上げ」というか。ノンキャリというか。
殆ど自力で、現場で、実戦の中で、色々と痛い目にあったり、問題点やら足りない事に気づいてリストアップしてったり、それに対して一つずつ解決策を立案したり、そのための勉強や練習を計画・実践したりして、これまでやってきている。
なので、「実戦」の価値とか効果については、良く心得ている。
 
 あまり頭が良い方でも勤勉な方でも無いので、理論本とか教則本とか熱心に読んだりさらったりしていくタイプではない。 いきなり実戦に身をおいて、そこで役に立ちそうなものをピックアップして、そこから遡って掘り下げてく方式をとっている。
 この世には、音楽だけに限定しても、学ぶべき事・取り組むべき事が多いのだ。生きているうちどころか、何十回、いや、何百回何千回生まれ変わって生涯を費やしたとしても、とても全てを網羅・把握する事など出来るわけがない。そんな事をしようとは、微塵も思わない。実用的なものだけでも充分過ぎる。
 いま取り組んでいるDTM、機械による音楽制作についてもそうだ。 手持ちのソフト(譜面ソフト、DAWソフト、自動生成ソフト、他)だけでも、全能とまではいわないが万能といってもよいくらい、出来る事・潜在的な可能性は広大だ。まだマニュアル、使い方を全て把握し使いこなしてるわけでも無い。
 
 逆にやれる事が多すぎて、溺れてしまう。目が回る。
 理屈的には、原稿用紙とペンを手にすればどのような漫画でも文学作品でも書く事は可能だし。キャンパスと絵の具を渡されれば、どのような絵画も書けるだろうし。五線譜とペンを手にすればどのような音楽作品の譜面でも作れるだろう。
 あくまで理屈的には。
 「仕事にする」というハッキリした目標・目的がなければ、興味関心は持ちつつも、どこから手をつければ良いのかも分からず、いつまでも手を出す事は無かったかも知れない。
  明確な目的意識、目指すべき到達点があるからこそ、どうにか針路をとって、それに沿って、進める事が出来る。




 ところで。
 漫勉という番組がある。 今日もやっていたが。 僕の好きな漫画家の一人である浦沢直樹氏がナビゲーターを務める、様々な漫画家の執筆(制作)現場の様子を定点カメラで録画し、それをその漫画家と浦沢氏で観ながら談義するという、実に画期的かつマニアックな番組だ。
 見ていてつくづく思うが。 作家によって、本当にやり方が違う。
 週刊連載で活躍している作家の毎週締め切りの中で培われた超人的な高速ペン入れだとかあの手この手の時短テクニック。逆に、構想や準備に二年かけて、じっくり超クオリティな作品を作り込む作家の根気強さ。
  アシさんが沢山いる中で騒々しくやる派、一人でコツコツやる派。 とにかくアナログ的な技法に拘る派もいれば、スキャナにソフトを使ってデジタル処理を加えた作り方をする派がいたり。 また、登場する漫画家一人一人のキャラや考え方が、良い感じにルイク入ってたりして、実に面白い。刺激的で、勉強になる。
 漫画の執筆を音楽制作に当てはめるとすれば、アシさん沢山かかえて背景やスクリーントーン貼りとか分業しながら行う方式は、バンドやエンジニアと録音するやり方に似てる。 一方、一人でソフト使って加工修正しながら行う方式は、宅録やDTMで作るやり方に似てる。
 
 デジタルを使って書く場合でも、「(アナログ的に)紙に描く」というのを基本に、それをスキャナで取り込んで加工修正したりしていく作家もいれば。 最後の仕上げにちょっと使うだけの作家もいるし。 最初から完全にデジタルで(紙の原稿用紙やペンを使わず)書く作家もいる。 千差万別。
 年季の入った(昔さんざんアナログをやってきた)ベテランが何の躊躇いもなくデジタル化してる場合もあるし、中堅どころがデジタルとアナログの割合とかで頭を悩ませている場合もあるし、若い人が完全アナログに拘っている場合もある。どちらが良い悪い、新しい古いとかでなく、良いやり方を選ぶ。
 さて。 自分はどういうやり方をしていくべき(どういうやり方が一番最適)なのだろうか。。。 とか、考えつつ。 今日も活動開始。 まずは日課のアナログ(つまり楽器の朝練)から。

     

 



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