所長の独り言... 
とあるジャズベーシストの独白・・・
注文しやすい料理店
 どうせMIDIから作り直すなら。
 Cubase内蔵のソフトウェア音源(HALION SONIC SE2)のデフォルトのままの音色でなく、カスタマイズして、自作プリセットとしてセーブしておこう。 根っこの部分で音色を作っておけば、後でミキシングする時に加工しやすい。
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 ザッとマニュアルに目を通してみたけど。
 せいぜい、フィルターかけたり、イコライズかけたり、エフェクトかけたり、する程度で、根本的な音色(周波数、スペアナの曲線図)を改造するようなツールや操作法は見当たらない。 「音色の組成を組み替える事は出来ない」という事は、分かった。
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 数年前、自作曲のレコーディングをした時。 エンジニアさんや参加ピアニストに「音は後からどうにでも変えられる」と聞いて、そんなもんか、と弾いてみて。 その場でプレイバックとか色々と聞いたり、音を変えたりしたのを聞かせて貰ったけども。 「何か」が違っていた。
 その「何か」が分からず、当然、上手く説明出来ないまま、どうにか弾くだけ弾いて、「機械の分からん俺にゃ、どうにも出来ない。 全部お任せします☆」と、丸投げしてしまったのだが。
 今なら説明出来る。僕が望んでた「音を変えられる」というのは、周波数そのものを変える事、だった。

 たしか、ラインとマイクの両方でとって、ミックスして貰ったと思うのだが。
 その時、モニターのヘッドフォンから返される音に全く馴染めず、結局一人だけイヤモニ無しの暗中計器飛行をせざるを得なくなった。 当時なドがつくアナログ派で、ヘッドフォンはめて練習した事も無いし、慣れてなかった。
 要は、指板の音や骨伝導とかによる音とか、超リアルな(今で言えばVRな)音色だとか。曲の途中で、瞬間的に楽器を持ち替える効果とか。そういうものを求めていたし、そんな事も出来るんじゃないかと思っていた。
まぁ、アホだ。
 家を建てる時に「変形合体は可能ですか?」と尋ねるに等しい。




 「分からない」「知らない」というのは、本当におっかない。僕の場合とんでもないミスをしでかしかねない。だから、よく分からん事には手を出さない。最低限、何が出来ないのか、そのラインだけは知っていないと、実現可能な要望を出す事すら出来ない。 根幹的な部分が分かってしまえば怖くない。
 こういう作業や勉強に手をつけて、よく分かる。 あの時、エンジニアさんやバンドのメンバーが、どれだけ素晴らしい仕事をしてくれたか。
 僕の出した唯一の指示・意向を忠実に実現してくれた。 「どこにもない、どこでもない、口では説明出来ない、あり得ない、非現実的な作品にしたい」
 今風に言えば、VRだ。 目を閉じて聞いた時に、全く別の空間、どことはハッキリとは言えない、海原の船上だか、霧立ち込める山の中か、雲海を見下ろす山頂か、空の上か、とにかく、仮想現実的な感覚をもたらすような(少なくとも狭いスタジオとかジャズクラブとかホールとか、でない)感覚を。
 何を言ってるのか(言ってる本人にすら)よく分からないw
 ミキシングの、2トラックの基本からして、音像とか定位とか、ほんの少しでも分かっていたら、絶対にありえない類の発言だw
 しかし、何をどうしたのかサッパリ分からないが、本当にそうなっているから、凄いのだ。

 ピアノトリオなのに。 山中の音楽ホールに機材を持ち込んで。 全チャンネルを使い、20本くらいマイク立てて、空間の音まで拾って。 とりあえず、当時、可能な限りのお膳立てをして貰った中での総動員体制の中での録音だった。
 そんな半ばパニック状態の中、必死で頭の中に様々な事をメモってきた。
 ピアノの鍵盤を弾く音、椅子がギシギシ言う音、とか意外に拾ってしまうのだ、という事。
グランドピアノの場合、マイキングする位置によって、音が変わる。
反響板とか孔とかの至近距離の音と、本体下の音、少し離れた所からの音で、だいぶ違ってくる。マイクの性能や指向性の問題もある。
 
 思いきり気になったのが、低音域の音の渋滞だ。 普段、ライブでは、それなりに互いに気にするが。 録音なんだし。ドラムにがっつり遠慮なくバスドラを踏み込んでもらいたかったし、ピアノにもがっつり遠慮なく広いレンジの音域を駆使してもらいたかったし、僕も遠慮なく弾きたかった。
 それが、モニターで返されると、どうしても同じような周波数帯で渋滞してしまう。演奏出来ない。
 普段の演奏では、指板の音や、手先やカラダからの伝導、空気ではなく肉体を媒質とした聴覚も併用して使っているが、イヤモニだと、聴覚だけが増幅されてしまい、慣れていないと感覚が狂う。

 ミキサーを入手してからこの数年、むしろヘッドフォンつけて弾く事の方がずっと多いが。
 当時は皆無。というか、あまりにアナログの、生の響きに、慣れすぎていた。偏り過ぎていた。
 アレじゃ、録音は厳しい。 我ながらよくやったなぁ、と思うし。 他のメンツも(こんな僕に)よくやらせたなぁ、と思う。
 「アフリカ奥地の未開部族の戦士、都会に出て目を回す」みたいな、ドタバタ劇を展開するハメになった。
 客観的に見れば、中々面白い仕上がり、良いドキュメンタリー作品になった。
 何も知らない、分からない、シロウトだからこそ出来た挑戦、冒険だ。一発芸だ。
 だからこそ。 あれの再現は、難しい。
 昨年、数年ぶりに当時のメンバーでライブをやったが。
 どうにか、当時の奏法やらメンタリティやらを再現しようとしたが。
 やっぱり、色々とワザとらしくなってしまう。 白々しく、あざとい感じとなってしまう。

 

  
 ただ、いま思い返すと。 あの録音は、やっておいて正解だった。
 サラウンド、というより、VR的な効果を作り出すためには、何をどのようにすべきか、という実験的なものとなった。結果的に。
 
 たしか、あの録音の際、エンジニアさんとバイノーラル録音について意見を交わしたりした、と思う。
 バイノーラルの場合、その場に居合わせたかのような臨場感を再現できる。
 人間が音を聞くときには音源から左右の耳に直接届く音波だけでなく自分自身の耳たぶや体の各部によって複雑に回折・反射した音波も合わせて聞いていて、それらによって音源の位置などを知覚していると考えられる。これらの音波をすべてそのまま記録したものを左右の耳にステレオ・ヘッドフォンで聞けば、録音時と同じ音場を感じられるという理屈だ。
 それで、結局、あんな大がかりな録音になってしまったが。 ただ問題がある。 「その場にいるような臨場感」 その場、すら確定(固定)したくなかったw
 
 当時読んでいた本に、セレンディピティという言葉があったが。 人間は何かを求めた瞬間、望んだ瞬間、自分(の座標)を自ら規定してしまう。 強く求めれば求める程、望めば望む程、持っていない事・いまそうでない事をハッキリ自覚させられてしまう。そして、遠ざかってしまう。思いもよらないものに、偶然出くわす、という感覚。何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。 雲をつかむような話だが、それがまさしくコンセプトの作品だった。




 感覚と情報のリンク、同期、追従性、というか。
 あくまで主役は録音(方式)ではなくバンド、楽曲、演奏。
 プレイヤーやバンドの音に、リスナーが付いてくる(誘導される)ような形、ジェットコースターやトロッコに乗せられてるような感覚を。VRな映像やそれに合わせて動いたり振動する床のような感覚を。
 バンドや演奏者、作編曲者、ひいては僕と、リスナーとの感覚の、イマジネーションの、共有、同期。
 そういうものを実現化する(した)のがミキシング・エンジニアやプロデュースの手腕だ。
 僕は必死に脚本を書いて演じるだけだった。




 僕がミキシングしたりプロデュースしたりするなら、どうするか。
 
 「何でも出来る」のを目指して精進していくのが第一。
 そして、注文に慣れた制作企画者(ユーザー)には「好きに希望して下さい。出来る範囲で最善を尽くします」と言えるようになる事。
 さらに、不慣れな(何が注文可能か不明な)制作企画者に「こーゆー事やこーゆー事が出来ます。例えばAとかB、またCというのがあります。勿論それぞれカスタマイズ可能です。どういう方向が希望ですか?」と、大まかな選択肢(注文リストやおすすめコース)とそのサンプルを即座に用意して提示できるように、なりたい。
 そういう積極的なヒアリングが出来るようになるためには技術と知識が要る。

 なにしろイチから。基本から。しっかりと取り組まねばならない。
まずは2トラックの、普通の音作りを自在に出来るように。
20以上のマイクやチャンネルを駆使するようなハイレベルな芸当は出来ない。オーディオインターフェースの数、2チャンネル(+MIDIチャンネル)。今扱えるのこれだけだ。
 その中で、可能な範囲内で、如何に、音を作るか。  問題をクリアにしていくか。



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