所長の独り言... 
とあるジャズベーシストの独白・・・
お断りの理由
 開発者や研究者は、企業なり研究機関なりから給料や資金をもらいながら、開発や研究に携わる。
 新しい製品の開発や新しい分野の研究に取り組む場合、中々芽が出なかったり、完全に失敗に終わったり、結果に結びつかなかったりもする場合が多い。
 それでも、時々結果が出せたり過程そのものが、試行錯誤の記録やデータなどが、今後の何かにつながる可能性があるので、企業や機関は開発者や研究者を雇い続け、その分の給料や資金を支払い続ける。つまり先行投資する。 どれだけ先行投資出来るか、その余裕が持てるか、が将来に関わってくる。

 一方。雇われでないフリーランスだと、全てを自分で調達しなくてはならない。勿論企業や研究機関のような潤沢な資金は望むべくもない。打ち出の小槌がない中で、なんとか資金や設備機材を調達し、開発や研究に取り組み、結果(ヒット商品開発とか、特許や賞の獲得など)に結びつけていかねばならない。
 正規雇用の開発者や研究者の場合、当然さまざまな要求なり作業ノルマなり時間拘束などで負担やストレスはあるのだろうが、その分、給料という形でコンスタントに代価を受け取る事が出来るし、それで生活費に回したり娯楽に回したりしてく事は可能だろう。自分の持ち出しで機材や設備費を払う事もない。フリーランスの場合、それが無い。 結果に結びつかない限り、試行錯誤中である限り、すべては単なる無駄な(労力や時間や経費の)浪費となってしまう。 なんとしても結びつけていかねばならない。そして、後でその分、キッチリ回収していかねばならない。

 自分の持ち出してきた、カネや手間や時間について自覚していかないと、それを回収してかなくちゃならない事を思い出していかないと。
 かけだしの、キャリアの浅い新人の5分と、キャリアを重ねてきた音楽家の5分は同等ではない。自戒を込めて言うならば。フリーランスの音楽家は気前良すぎがち。
 みんな、気前が良いというか人が良いというか、謙虚過ぎるというか。 偉ぶらない、お高くとまってない、という点で、一部にはウケるが、ウケた所で獲得できる実入りは若手と同レベルだったり、下手すりゃ若手の勢いとか将来性とかの方が、これまで積み重ねてきたものより低く安く見なされたりする。
 駆け出しの頃、若手の頃、「どんなヤマでも引き受けます! 儲け少なくても構いません! とにかく修業の場を、チャンスを下さい! 宜しくお願い致します!」みたいなノリで、ブラックバス並みのガッツキで何でもかんでも手を出していった時期もあるが。
 昔と同じノリとかメンタリティでやってちゃ、例えそんなつもりなくとも、自らを(これまでやってきた積み重ねてきた活動の全てを)安売り、叩き売りするのに等しい。
 自分の価値を、収入を下げている、価格破壊を起こして、泣く羽目になっているのは、他の誰でもない。自分のせいだ。

 というわけで、この所、「他をあたって(その条件でもやってくれる人を探して)ください」とお断りしてる件がいくつかある。

     

 



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